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19.6.2 たんぱく質の熱変成
加熱するとたんぱく質が凝固する。卵、肉、魚等のアルブミン、グロブリン属が示す現象である。凝固反応の温度係数は非常に大きい事に注意する。熱凝固の温度は一般に60〜70℃である。この変成は連続的に進行する反応なので、凝固状態は、たんぱく質の濃度、温度上昇、pH、共存物質等などの影響を受ける。酸性(H+)では、凝固は促進される。無機塩(Na+ < Mg++, Ca++)を加えても凝固は促進される。これは、たんぱく質が持つ負電荷がプラスイオンにより中和されるからである。
- 卵白は58℃で凝固が始まり、80℃で固く凝固する。
- 卵黄は65〜70℃で凝固する。従って、65℃の湯に長く浸しておくと、卵黄が固まり、卵白が流動性を持っているゆで卵ができる。
- ゆで卵を作る時に塩を入れると、殻が割れた時に凝固しやすくなるので、中身の流出が抑えられる。
- ポーチドエッグ(第11.6節)では、塩と酢を使っている。これは、なるべく低い温度で早く固まらせる事により、卵白と卵黄の対比を作るためと思われる。
- 食塩により、凝固温度が下がり、たんぱく質の固さも増す。立て塩が旨味を閉じこめると言われる所以である。
- しゃぶしゃぶの適温は65℃と指定されている(第12.4節)。これは、できるだけ柔らかく、且つ旨味の流出を防ぐ配慮と思われる。
- 豆腐は、豆乳をにがり(MgCl2)を使って凝固させる。
- 逆に砂糖は、たんぱく質の凝固を遅らせる。従って、卵焼きやケーキなどは、砂糖を入れてふわりと弾力を持つようにする場合がある。ショ糖の-OHが水素結合でたんぱく質分子と結びつき、分子がほぐれにくくすると言われている。
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Kozan
平成28年2月8日