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食品と酸化反応とは深いかかわりがある。酸素と結びつけば酸化であるが、定義を拡張して、酸化とは基本的には、酸化数が増える事とする。これをもう少し具体的な例で表すと、ある分子が水素を失う事は酸化、逆にある分子に水素が付加されれば還元となる。また、電子を失えば酸化と呼ぶ。食品の場合には、酸素と結びつく基本的な酸化反応は、果物のビタミンCが酸化されてしまうとか、ポリフェノール系の物質が酸化により褐変を示すなどの好ましくない現象と言える。食品の酸化反応には、酵素が関与する場合(褐変やビタミンC)と酵素は関与しない場合(油脂の酸化)がある。
- 色の変化:野菜や果物では、フラボノイドとアントシアンという同じ系統の化合物(色素)が重要な役割を果たしている。特徴は、pHの変化により色が変わる事であり、水溶性である[2]。
- アントシアンは酸性では赤色に近く、アルカリ性では、青、緑、紫、褐色になる。この変化は可逆的である。
- 梅干しは、しその葉のアントシアン(シソニン)を梅の酸で赤く発色させている。
- みょうがの酢漬けは、アントシアンが酸で赤く発色する事を利用しているindexいろのへんか@色の変化!--みょうがのすづけ@みょうがの酢漬け。赤かぶ、赤キャベツ、赤たまねぎ、いちご、ぶどうも同じ。
- フラボノイドは酸性で無色、アルカリ性で黄色あるいは褐色になる。
- フラボノイドを持つ蓮根やゴボウを酢で煮ると白くなる。
- 微量の無機イオンが存在すると、安定な錯塩を作り、たちまち別な色に変わる特徴を持つ。
- 黒豆の色素(クリサンテミン)はアントシアンであり、鉄イオンが存在すると、黒さを増す(第6.1節)。
- ぬかみそにミョウバンを入れるとナスの色が鮮やかになる。これは、ミョウバンのアルミニウムイオンとなすのアントシアン(ナスニン)が結合して紫色の錯塩を作るからである。
- 紅茶には、フラボノイドの一種であるテアフラビンという色素があり、紅茶の色を作っている。これは酸性で色が薄くなるので、レモンを入れると紅茶の色が薄くなる。
- フラボノイドの一族で、3価以上のフェノール類を総称してポリフェノールという。これらの誘導体が果物に含まれており、褐色を生じる原因である。この褐変は、食塩によりある程度押さえられ、酸によって防止され、アルカリによって促進されるという性質があるので、この酸化反応は酵素の力により進められている事がわかる。褐変を防ぐ方法は、酸素を遮断するか、酵素作用を停止させるかである。食塩や酸は、酵素の働きを押さえたり、止めたりする。
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Kozan
平成28年2月8日